なんば・道頓堀の民泊・一棟貸し|黒門市場と食い倒れの街に泊まる

食い倒れの街、なんば。道頓堀の看板、黒門市場のアーケード、石畳の法善寺横丁——大阪の「これぞ」が半径1キロに詰まっています。このエリアに泊まる最大の利点は、歩いて帰れること。夜遅くまで飲んでも、荷物が増えても、タクシーも終電も気にしなくていい。キッチン付きの一棟を借りれば、黒門市場は観光地ではなく「近所の市場」になります。

道頓堀——名前は、私財を投じた一人の商人から

道頓堀という地名は、川の名前であり、人の名前でもあります。1612年、安井道頓(1533〜1615)が私財を投じて南堀河の開削に着手しました。しかし道頓は完成を見ることなく、大坂夏の陣で命を落とします。工事は従弟の道ト(どうぼく)が引き継ぎ、1615年に運河が完成しました。

当初は「新堀」「南堀川」などと呼ばれていましたが、大坂城主・松平忠明が、道頓の功績と投じられた私財を悼み、その名を取って「道頓堀」と命名したと伝えられています。

つまり、いま観光客が写真を撮っているあの川は、400年前に一人の商人が「この街には水路が要る」と信じて掘った跡です。やがて川沿いに芝居小屋が並び、食い倒れの街になっていく歴史は、すべてこの運河の上に積み上がりました。橋の上から看板を見上げるとき、足元の川がそういう川だと知っていると、少しだけ見え方が変わります。

黒門市場——「浪速の台所」は、寺の黒い門から始まった

黒門市場の始まりは江戸時代後期。この地にあった圓明寺(えんみょうじ)の黒い山門のあたりに商人が集まり、堺や紀州から運んできた新鮮な魚を売ったのが起源です。だから当時は寺の名を取って「圓明寺市場」と呼ばれていました。

その圓明寺は明治期の火災のあと、現在の東住吉区へ移転します。寺は去りましたが、目印だった「黒門」の記憶だけが土地に残り、大正時代の初め頃から「黒門市場」と呼ばれるようになりました。寺はもうないのに、門の名前だけが生き残って市場の名前になった——これがこの市場の面白いところです。

その後も平坦ではありません。明治末期の難波大火、太平洋戦争末期の大阪大空襲で、市場は二度焼けています。それでも戦後すぐに黒門市場組合(現・黒門市場商店街振興組合)が発足して再興し、「浪速の台所」「大阪の胃袋」と呼ばれるまでになりました。

現在は千日前通から南へ約580メートルのアーケードに、鮮魚・精肉・青果・惣菜・飲食など約150店舗が並びます。もともとはプロの料理人が仕入れに来る市場で、いまも早い時間帯は業務用の仕入れが中心。観光客向けの食べ歩きが賑わうのは昼前後からです。

キッチン付きの一棟貸しに泊まる方にとって、黒門市場は「観光地」ではなく「買い物先」になります。 刺身や肉を買って部屋で食べる——外食が続いて少し疲れた3日目あたりに、この選択肢があるのは大きいです。近鉄日本橋駅・日本橋駅から徒歩数分、このエリアのお部屋からも歩けます。

法善寺横丁——苔むしたお不動さんと、一人の女性

千日前の喧騒から石畳の路地に一本入ると、法善寺横丁があります。法善寺は浄土宗の寺院で、寛永14年(1637年)からこの地にあります。横丁そのものは、境内で参拝客相手に商っていた露店が始まりでした。

有名な水掛不動尊は、全身が緑の苔に覆われています。参拝者が願いを込めて水を掛け続けた結果です。ところが、この「水掛け」の作法自体は、400年近い寺の歴史のなかではごく新しく、戦後すぐに始まったものでした。ある日お参りに来た一人の女性が、供えられていた水を手ですくってお不動さんに掛けた——その切実さが作法として定着し、いまの姿になったと伝えられています。

もう一つ、この横丁の名を広めたのが織田作之助の小説『夫婦善哉』です。「東の太宰、西の織田」と並び称された作家が描いた、しっかり者の芸者・蝶子と、気弱で道楽者の若旦那・柳吉の物語。映画にもなり、「夫婦善哉」は横丁を象徴する名物になりました。

昼間の道頓堀とはまったく違う、静かで薄暗い路地です。宿がこのエリアにあると、夜、人が引けたあとにもう一度歩きに来られます。 苔の色が街灯に照らされる時間帯が、いちばんこの横丁らしい。

グリコサインと戎橋——道頓堀川に映る、80年以上のランナー

道頓堀といえば、川沿いで両手を挙げてゴールするグリコサイン。初代が立ったのは1935年(昭和10年)、高さ33メートルの巨大な広告塔でした。以来、時代ごとに姿を変え、いま光っているのは2014年に更新された6代目。初代から数えて80年以上、同じ場所で走り続けているランナーです。

戦時中は金属供出でいったん姿を消し、戦後に復活しました。ネオンからLEDへ、背景の絵柄も移り変わってきましたが、「両手を挙げたランナー」という基本の形だけは一度も変わっていません。大阪の人にとっては、待ち合わせといえばまずこの看板の下です。

そのグリコを正面から撮れるのが、道頓堀川に架かる戎橋(えびすばし)、通称「ひっかけ橋」です。橋の上は、看板を撮る人と記念写真の人でいつも賑わっています。このエリアに泊まると、人が引けた夜遅くや早朝に、静かな戎橋からグリコを見上げられます。 川面に光が映り込む時間帯が、いちばんきれいです。

千日前——笑いの殿堂と、料理道具の街

「千日前(せんにちまえ)」という一風変わった地名には、諸説あります。有力なのは、すぐ西の法善寺が「千日念仏(千日回向)」——一度の参拝を千日ぶんの功徳とする勤め——を長く続けたことから「千日寺」と呼ばれ、その門前だから「千日前」になった、という説。もう一つ、江戸の初め、この一帯に大きな墓地と刑場・火葬場があり、死者を弔う念仏が営まれた土地だから、という背景も語られます。明治以降、刑場は廃され墓地は阿倍野へ移り、跡地はやがて大阪有数の繁華街になりました。

その繁華街が育てた大阪の文化が、お笑いです。吉本興業の始まりは1912年(明治45年)。吉本泰三・せい夫妻が大阪・天満の寄席「第二文芸館」を買い取ったのが第一歩で、大阪から始まった会社が、やがて関西の漫才や喜劇の文化を支えていきます(いまの本店も、この千日前にあります)。その象徴が、千日前のなんばグランド花月(NGK)。1987年に開場した、お笑いと喜劇の常設劇場で、「笑いの殿堂」と呼ばれます。年中舞台がかかり、テレビで見た漫才や新喜劇を、その場の空気で楽しめます。

もう一つ、千日前に忘れてはいけない通りがあります。千日前道具屋筋商店街。明治15年(1882年)ごろ、四天王寺や今宮戎神社への参道に道具商が集まったのが起こりで、いまは全長約150メートルのアーケードに、飲食店向けの業務用の調理器具・食器・看板を扱う店が並びます。プロの料理人が仕込みの道具を買いにくる、「食い倒れの街」の裏方を支える通りです。近年は、蝋でつくる食品サンプルを扱う店や、寿司や野菜そっくりのサンプルキーホルダーが旅の土産に人気。キッチン付きの一棟に泊まるなら、黒門市場で食材を、道具屋筋で道具を——という大阪らしい買い物もできます。

日本橋(でんでんタウン)——電気の街から、サブカルの街へ

なんばの東、堺筋沿いに広がるのが日本橋(にっぽんばし)です。東京の「日本橋(にほんばし)」とは読み方が違い、地元では「でんでんタウン」「ポンバシ」と呼ばれます。「でんでん」は「電気」から取った愛称で、1978年の公募で決まりました。もとは宿場町・古書店街だったこの一帯は、戦後、ラジオの自作部品や工具を売る店が集まって電気街になり、やがて家電量販の街へ。「東のアキバ、西のポンバシ」と、東京の秋葉原と並び称される、西日本最大級の電気街です。

その日本橋も、いまは表情を変えました。家電から、アニメ・ゲーム・同人・フィギュアといったサブカルチャーの街へと軸足を移し、堺筋の西側の「オタロード」(日本橋筋西通商店街)には、その手の専門店がびっしり並びます。毎年春には、コスプレイヤーが集う大規模な街頭イベント「日本橋ストリートフェスタ」も開かれ、街のもう一つの顔になっています。電気の街から趣味の街へ——時代とともに扱うものを変えながら、ずっと「好きなものを探しに行く場所」であり続けている一帯です。

このエリアの見どころ

観光スポット

食べる

買う

アクセス

関西空港南海本線でなんばへ。空港急行で乗り換えなし
新大阪(新幹線)地下鉄御堂筋線で乗り換えなし
梅田・大阪駅地下鉄御堂筋線で数駅
USJ地下鉄・JR で西九条乗り換え
京都近鉄・地下鉄で乗り継ぎ、または大阪駅からJR
奈良近鉄難波から乗り換えなしで行けます

なんばは南海・近鉄・阪神・地下鉄が集まるターミナルです。関空にも奈良にも乗り換えなしで出られるため、関西を広く回る旅の拠点にしやすいエリアです。

このエリアのお部屋

よくあるご質問

道頓堀まで歩いて行けますか?
このエリアのお部屋の多くは、道頓堀・戎橋まで徒歩圏です。お部屋ごとの最寄駅と徒歩分数は各ページに記載しています。
黒門市場は何時ごろ行くのがよいですか?
もともとは料理人が仕入れに来る市場で、早い時間帯は業務用の仕入れが中心です。食べ歩きのお店が開くのは昼前後からになります。営業時間は店舗ごとに異なるため、市場の公式情報をご確認ください。
関西空港からのアクセスは?
南海本線の空港急行で、乗り換えなしでなんばまで来られます。
キッチンはついていますか?
このエリアは一棟貸しが中心で、キッチン付きのお部屋が多くあります。黒門市場で食材を買って調理される方も多いです。設備は各お部屋のページでご確認ください。
何名まで泊まれますか?
お部屋によって異なりますが、一棟貸しではご家族やグループでの滞在に対応できるお部屋があります。人数で絞り込んでお探しいただけます。
夜は騒がしくないですか?
道頓堀の中心部は夜も賑やかですが、一本入った住宅街に位置するお部屋もあります。静かに過ごしたい方は、繁華街から少し離れたお部屋をお選びください。
荷物を預けられますか?
チェックイン前・チェックアウト後のお荷物の取り扱いはお部屋ごとに異なります。ご予約後にお送りするご案内をご確認ください。
奈良や京都への日帰りはしやすいですか?
近鉄難波から奈良へは乗り換えなしで行けます。京都へもJR・私鉄で日帰りできる距離です。