嵐山の民泊・一棟貸し|渡月橋と竹林の朝を、独り占めする

渡月橋、さらさらと鳴る竹林、世界遺産の庭——嵐山は、京都でもとりわけ人気の集まる場所です。だからこそ、泊まって得をするエリアでもあります。日帰り客が到着する前の朝、そして帰ったあとの夕方。人波が引いた渡月橋と竹林の小径は、驚くほど静かです。その時間の嵐山を歩けるのは、近くに泊まる人だけ。川のせせらぎと竹の葉ずれだけが響く朝を、独り占めできます。

渡月橋——「月が渡る」と名づけた、二人の説

嵐山の顔、渡月橋(とげつきょう)。桂川(この区間は大堰川とも呼ばれます)に架かる、橋長155メートルの橋です。いまの橋は1934年(昭和9年)に架け替えられた鉄骨鉄筋コンクリート製ですが、中央を少し持ち上げて弓なりにし、欄干を檜(ひのき)の格子にするなど、木造の橋に見えるよう意匠が凝らされています。

橋そのものの歴史は古く、通説では承和年間(834〜848年)、法輪寺を中興した僧・道昌(どうしょう)が架けたと伝わります。現在の位置に架け替えられたのは、慶長11年(1606年)、豪商角倉了以(すみのくらりょうい)が保津川の水路を開いたときとされます。

「渡月橋」という美しい名の由来には、二つの説があります。一つは、鎌倉時代の亀山上皇が橋の上を移動していく月を眺め、「くまなき月の渡るに似たり」と述べたことから、という説。もう一つは、天龍寺の夢窓疎石が景勝を選んだ「天龍寺十境」で「度月橋」と名づけた、という説です。どちらの説でも、この橋の名には「月が渡る」情景が刻まれています。夜、橋の上に立つと、その名づけの気持ちが少しわかります。

竹林の小径と野宮神社——源氏物語の舞台を抜ける

渡月橋から北へ入ると、両脇を手入れの行き届いた竹が覆う竹林の小径(ちくりんのこみち)があります。野宮神社から天龍寺の北門を経て大河内山荘へ抜ける、約400メートルの道。見上げると空が竹の葉で細く切り取られ、風が通るたびに一斉に葉が鳴ります。この葉ずれの音は、混雑した日中よりも、人の少ない早朝にこそ本領を発揮します。

その竹林の入口近くにあるのが野宮神社(ののみやじんじゃ)。かつて、天皇に代わって伊勢神宮に仕える斎王(さいおう)が、伊勢へ発つ前に身を清めた潔斎の地でした。黒木鳥居と小柴垣に囲まれた、清らかな場所です。

この社は、紫式部の『源氏物語』「賢木(さかき)の巻」の舞台であり、謡曲「野宮」の題材にもなりました。鳥居は樹皮のついたクヌギの原木でつくられた黒木鳥居で、「最も古い鳥居の形式を伝える」とされます。いまは縁結びの神様としても親しまれ、「お亀石」を撫でて願う人が絶えません。千年前の物語の一場面に、そのまま立てる場所です。

天龍寺——金龍の夢から生まれた、京都五山の第一

竹林の南に広がるのが天龍寺。正式には霊亀山天龍資聖禅寺といい、臨済宗天龍寺派の大本山、京都五山の第一位に位置づけられた格式の高い寺です。開いたのは室町幕府を興した足利尊氏、初代住職(開山)は夢窓疎石でした。

成り立ちには、後醍醐天皇の物語があります。尊氏と対立した末に吉野で没した後醍醐天皇の菩提を弔うため、かつての離宮・亀山殿を寺に改めたのが天龍寺です。暦応2年(1339年)に発願され、落慶供養が営まれたのは康永4年(1345年)。寺号の「天龍」は、尊氏の弟・直義が大堰川に金の龍が舞う夢を見たことにちなむと伝わります。建立の資金を得るため、幕府は元との貿易船「天龍寺船」まで仕立てました。

見どころは、夢窓疎石が作庭した曹源池庭園(そうげんちていえん)。嵐山と亀山を庭の背景に取り込む「借景」の名庭で、わが国で最初に史跡・特別名勝に指定された庭園です。天龍寺は世界遺産「古都京都の文化財」の一つ。池に映る嵐山を眺めていると、700年近く前の人が同じ山を借景に選んだ理由が、そのまま腑に落ちます。

保津川下りとトロッコ列車——川と山を、二通りで抜ける

嵐山の楽しみは、街歩きだけではありません。上流の亀岡から嵐山まで、渓谷を舟で下る保津川下りがあります。舟の航路を開いたのは、渡月橋を今の位置に架けたのと同じ角倉了以。慶長11年(1606年)に水路を開きました。観光の川下りとして遊船が始まったのは明治期のこととされ、船頭が竿と櫂で岩の間を巧みに抜けていく約2時間の舟旅です。

同じ渓谷を、今度は列車で楽しめるのが嵯峨野トロッコ列車です。1991年に開業した観光鉄道で、トロッコ嵯峨からトロッコ亀岡まで、保津川の渓谷沿いを約7キロ走ります。電化・複線化で使われなくなった山陰本線の旧線を活用したもので、車窓いっぱいに渓谷の景色が流れます。

トロッコで山を上って亀岡へ、保津川下りで川を下って嵐山へ戻る——この組み合わせが定番です。嵐山に泊まれば、朝の静かな渡月橋を渡ってから、こうした一日がかりの川遊びに出られます。(運休期間があるため、運行は各社の公式情報をご確認ください。)

奥嵯峨——落柿舎から化野念仏寺へ、静かな山里

渡月橋や竹林のにぎわいから、さらに北の嵯峨野の奥へ入っていくと、驚くほど静かな山里が広がります。奥嵯峨(おくさが)と呼ばれる一帯です。その入口、田畑のなかに茅葺きの小さな庵落柿舎(らくししゃ)があります。松尾芭蕉の弟子・向井去来(むかいきょらい)の草庵で、庭の柿の実が一夜でほとんど落ちてしまった逸話から、この名がついたと伝わります。芭蕉もここに滞在し、元禄4年(1691年)には『嵯峨日記』を書きました。 俳句のふるさとの一つです。

この一帯には、小さな古寺が点在します。祇王寺(ぎおうじ)は、『平家物語』ゆかりの尼寺。平清盛に愛されながら心変わりされ、母と妹とともに出家した白拍子・祇王の悲恋が伝わる、苔に覆われた庭の美しい寺です。二尊院(にそんいん)は、釈迦如来と阿弥陀如来の「二尊」を本尊とすることが寺名の由来で、総門から続く参道は「紅葉の馬場」と呼ばれます。小倉山の中腹の常寂光寺(じょうじゃくこうじ)には、重要文化財の多宝塔が立ちます。

奥嵯峨のいちばん奥にあるのが化野念仏寺(あだしのねんぶつじ)。この地はかつて風葬・埋葬の地で、寺伝では弘法大師空海が野ざらしの遺骸を弔ったのが起こりとされ、のちに法然が念仏の道場としました。境内には、無縁仏を集めた約8000体の石仏・石塔が並び、その光景は「西院(さい)の河原」と呼ばれます。毎年、灯明を供える千灯供養が営まれます。この小倉山のあたりは、藤原定家が山荘にこもって『小倉百人一首』を撰んだ地とも伝わります(定家の山荘跡はいくつかの寺が伝え、特定は難しく、諸説あります)。日帰り客が引いた夕方、この奥まで足をのばせるのは、近くに泊まる人の特権です。

松尾大社と法輪寺——酒の神と、十三まいり

渡月橋のたもとから川の南側の山裾に目を向けると、中腹に朱色の多宝塔が見えます。法輪寺(ほうりんじ)です。本尊は知恵を授ける虚空蔵菩薩で、数え13歳の子どもが知恵と福徳を祈願する「十三まいり」の寺として知られます。京都には「お参りの帰り、渡月橋を渡り終えるまで振り返ると、授かった知恵を返してしまう」という言い伝えが広く残っています(これは寺の公式なものではなく、土地の俗信です)。渡月橋の南詰から山側へ入ってすぐの近さです。

そこからさらに南へ1.5キロほど、阪急で二駅のところに、松尾大社(まつのおたいしゃ)があります。創建は大宝元年(701年)、大陸から渡来した氏族秦氏(はたうじ)が、背後の松尾山の磐座(いわくら)に祀られた神を迎えて社殿を建てたのが始まりと伝わる、京都でも指折りの古社です。中世以降は「酒の神」として、全国の酒造家の信仰を集めてきました(酒の神とされる由来には諸説あります)。境内には、いまも各地の蔵元が奉納した酒樽がずらりと積まれています。渡月橋のにぎわいから少し離れて、渡来と信仰の古層に触れられる——嵐山のもう一つの奥行きです。

アクセス

渡月橋・竹林(右京区側)阪急嵐山駅から渡月橋を渡って北へ。橋の南側が阪急駅です
京都駅阪急で桂乗り換え、または嵯峨嵐山駅からJR嵯峨野線で直通
河原町・祇園阪急京都線で乗り換えなし、または桂乗り換え
大阪(梅田)阪急で桂・十三乗り継ぎ、または大阪梅田へ直通系統
金閣寺・北野方面嵐電(京福電車)で北野白梅町へ
亀岡(トロッコ・保津川下り)嵯峨嵐山駅・トロッコ嵯峨駅から

嵐山には駅が3つあり、名前が紛らわしいので注意が必要です。①阪急「嵐山駅」は渡月橋の南側(西京区)、②嵐電(京福)「嵐山駅」と③JR「嵯峨嵐山駅」は北側(右京区)にあります。当エリアのお部屋は阪急嵐山駅が最寄りで、渡月橋を渡って竹林・天龍寺のある北側へ歩けます。

よくあるご質問

渡月橋や竹林まで歩けますか?
当エリアのお部屋は阪急嵐山駅が最寄りで、渡月橋の南側にあたります。橋を渡って北へ歩けば、竹林の小径や天龍寺のある一帯です。お部屋ごとの最寄駅と徒歩分数は各ページに記載しています。
嵐山の駅が複数あると聞きました。どの駅が最寄りですか?
嵐山には阪急・嵐電・JRの3つの駅があり名前が似ています。当エリアのお部屋の最寄りは阪急「嵐山駅」(渡月橋の南側)です。ご予約後に経路をご案内します。
混雑を避けて観光できますか?
日中は人が多い嵐山も、早朝や夕方は比較的静かです。近くに泊まると、その時間帯に渡月橋や竹林の小径を歩きやすいのが利点です。各寺社の拝観時間は公式情報をご確認ください。
京都駅へは行きやすいですか?
JR嵯峨嵐山駅から嵯峨野線で京都駅へ乗り換えなし、または阪急で桂乗り換えのルートがあります。お部屋からの経路はご予約後にご案内します。
保津川下りやトロッコ列車に乗れますか?
嵯峨嵐山駅・トロッコ嵯峨駅が起点です。運休期間があるため、運行状況は各社の公式情報をご確認ください。
何名まで泊まれますか?
お部屋によって異なります。人数で絞り込んでお探しいただけます。嵐山は一棟貸しのお部屋があり、ご家族やグループでの滞在にも向きます。
キッチンはついていますか?
お部屋によって異なります。一棟貸しではキッチン付きのお部屋があります。設備は各お部屋のページでご確認ください。
大阪への日帰りはしやすいですか?
阪急で大阪(梅田)方面へ出られます。嵐山でゆっくり過ごしつつ、大阪へ足を延ばすこともできます。